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今月(5月1日~5月31日)
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シーモア島


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ハートストレートは天使のささやき2017年1月6日星子一人旅シリーズの17冊目。
三日月マサル刑事が記憶喪失になり、それを取り戻そうと星子さんが寄り添ううち、マサルの過去がわかってくる、というストーリー。
やっぱり、哀しいですよね、マサルは、過去も今も、なにもかもが。何故ここまで哀しみを与えるのか。胸が締め付けられます。そういう星のもとに生まれたという設定なのでしょうね。かなり後の巻で、星子の恋星の軌道とマサルの恋星の軌道は、本来重ならないものだ、と作者さんが書いておられました。昔読んだときは、そんな設定を残酷に思いましたが、年齢を重ねた今、そういうものもあるのかもしれないと思うようになりましたし、マサルを通して宿命を背負った男の目の哀しさというものを表現されたかったのかもしれません。それだけに、いつまでも心に焼き付くキャラクターです。
星子シリーズは、マサルさん初登場の「ヴァージンロードはエースの罠」からこの辺りまでが一番面白いと個人的には思います。マサル、初登場のときに比べると硬派度が徐々にアップしてます。この巻では、いつもつっけんどんなマサルが、星子さんに独り暮らしの部屋を見られオタオタする意外な一面を見せるシーンがありかわいいです。
そういえば、ラストの火の中からでてきた女性の謎はとけたのでしょうか。星子シリーズ最大の謎かもしれません(笑)。 -
シュールな笑いの最高峰2017年1月3日中学のとき嵌まってました。単発ものとシリーズものがあります。カワウソ君始め、これでもかという濃いキャラの数々。個人的にはヤッタ君とメルちゃんを怖がるヤクザには腹抱えて笑った。
後年「マサルさん」を読んだとき、この漫画からインスパイアされてるのかなという印象があり新鮮味がなかった。やはりこの漫画が原点で最高峰です。いいね
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夕あり朝あり2017年1月1日クリーニング白洋舎の創業者、五十嵐健治氏の生涯を、三浦綾子さんが五十嵐氏ご本人の語り口調で書いた物語です。養子に出された幼年時代、養母や生母への思慕、一攫千金を夢見て放浪した少年時代、ロシアに渡ろうとして騙されて売られたタコ部屋からの脱走、北海道の地で再び出会ったキリスト教と入信、三越への入社と独立して開業した洗濯業、命を落としかけたドライクリーニングの開発。柔らかな語り口で紡がれる波瀾万丈の人生と、キリスト教信仰に基づいた企業経営の道のりに、時間をたつのも忘れて没入してしまいました。同時に、当時の大事件(日清戦争や日露戦争、世界大戦など)を、当時の人々がどう捉えていたかがよくわかり、英雄も時代を正確には捉えられないのだということが身に染みて感じられました。近代史の勉強にもなりおすすめです。
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平安の世界へ2016年12月29日平安時代、突飛な行動で世間を騒がせる瑠璃姫が主人公の物語です。ジャンルは恋愛&ファンタジー&ミステリー&アクションといったところでしょうか。少女小説でありながらも、根底に人間の喜怒哀楽、人間同士の繊細な機微、人にはどうにもならない運命や業などをしっかり捉えて書いているので、大人も読める普遍的な作品になっていると思います。
融通がきかない朴念仁の夫、高彬や、イケメンの鷹男の帝など個性あふれるキャラクターも良いですよね。
昔ドラマ化されてたそうだけど、鷹男の帝は仲村トオルさんなのか、なんかぴったり。吉野君が京本政樹さんってとこはちょっと笑いました。 -
三浦光世 電子選集 妻と共に生きる ~妻・三浦綾子と歩んだ40年~
妻と共に生きる2016年12月29日作家の三浦綾子さんの旦那さん、三浦光世さんの、夫婦生活を回想してつづったエッセイです。結構赤裸々に書いてあって面白いです。病気で寝たきりの綾子さんを何年も待ち続け結婚された方だけあって、とても意志の強い方。以前インタビューで、愛とは「人を幸せにする意志」だと小さい頃教えられた、とおっしゃっていましたが、相手が窮地に陥り、弱く助けが必要な状態になったときほど、意志の力が試されるのだと思いますし、それが単なる自分勝手な愛か「意志」としての愛かをはかる試金石になるのだと思います。夫婦関係とはお互いの絶え間ない努力がないとダメなのだと実感させられました。三浦夫妻が思いやり支えあう姿に学ぶことがたくさんありました。いいね
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ハッピーエンドはジョーカーの罠2016年12月28日星子シリーズの9作目です。主人公星子とフィアンセ宙太のターニングポイントとなる巻です。
親が決めたフィアンセだから、まだまだ自由に恋したい星子さん。なんだかんだ宙太に惹かれているのに、かけひきとばかり宙太につっけんどんな態度をとってきた。
しかし、事件に巻き込まれ刑事でありながら追われる身となった宙太を助けたいと危険を省みず潜入調査するうち、自分を甘えさせてくれていた宙太という存在がいかにかけがえのないものだったかに気づき、宙太への真の愛情にめざめていきます。
事件が進むにつれ、星子の良き旅友であるニューハーフの春ちゃんの衝撃の真実も明らかになります。ラストシーンの顛末まで引き込まれます。 -
スリーカードは愛の殺人案内2016年12月28日星子一人旅シリーズ12作目。
トラベルミステリーである星子シリーズは一作一作がドラマのようですが、この巻は特に映画的な意味でドラマティックです。
舞台は北海道。宙太が星子のフィアンセとも知らず、宙太にのぼせている星子の親友リツ子。宙太と旅をするつもりだとはしゃぐリツ子に宙太をとられたくなくてブルートレイン「北斗星」に乗った星子さんですが、旅先ではかつて星子が愛した過去の男性に纏わる悲しいストーリーが待っていました。
刑事としての自分の立場に悩みながら、他の男性に心揺れる星子を見守る宙太が悲しく優しい。
このシリーズは、星子を取り巻く男性達が本当の意味での大人なんですよね。今は私のほうが年は上ですが、それでも彼らのほうがずっと大人です。人間の機微をよく知る真の男たちの掛け合いがとても粋でかっこいいです。もう30年近く前の作品ですが全く古くない。今の中高生に読んでほしい。 -
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因縁を解きほぐす旅2016年12月28日星子一人旅シリーズ14作目。「ワンペアは殺しの花言葉」から出てきた謎の人物、ゲンジロウの正体がわかる巻です。同時に星子のフィアンセの宙太の背景の謎も、この巻になってようやくはっきりします。二人の間の因縁の糸を探しにでかける星子さんの旅です。ゲンジロウの悲しい過去に胸がつまる。
少女小説ジャンルのユーモアミステリーでありながら、このシリーズに出てくる男性は重い過去や業をしょってる人が多い。それが作品を深めてくれてるのだと思います。今読み返すと、主人公の星子は高校生だけど回りの男性達はみな二十歳を越えた大人で、勝ち気な星子の意思を大人目線で尊重してくれている。いろいろ経験した大人になって読み返すと視点が変わるので当時とは全く違った気持ちで読めました。 -
星子シリーズの中で一番好き2016年12月28日星子一人旅シリーズ8作目。中身も表紙も星子シリーズの中で一番好き。一匹狼の刑事、三日月マサルさん初登場の巻です。
もう何回読み直しても良い超名作です。
フィアンセの宙太にまるめこまれ行くはめになった婚前旅行から逃げ出し犯罪に巻き込まれた主人公の星子。妹を死に追いやったのに裁かれなかった犯人を追う停職中の刑事マサル。清里を舞台に二人が出会って物語がすすんでいきます。この巻だけで二時間ドラマ作ってほしいくらいハラハラドキドキ。ぶっきらぼうで野性的なマサルに反発しながらひかれていく星子の心情描写が素晴らしいです。最後の宙太の台詞も印象的です。
山浦先生の文章は映像が綺麗に浮かび上がるんですよね。トラベルミステリーということで旅先の描写も情緒があっていい。 -
懐かしくて2016年12月28日星子一人旅シリーズ15作目。小学校のとき、星子シリーズの中で初めて買った作品ですごく思い出深い。この作品で出てきた青春18キップに憧れ友達同士で日帰り旅行をしたのが懐かしい。
内容はいつも通り、旅に出た星子が事件に巻き込まれるというもの。
全国のチェックポイントを回る魔界オリエンテーリングというツアーに参加した少女たちが次々と事件に巻き込まれる。そこに主人公の星子さんや、フィアンセで刑事の宙太や、同じく刑事のマサルが絡み事件の真相を探っていく。
浜名湖の弁天島、伊賀の忍者村、大阪のアメリカ村、神戸の異人館、天橋立、横浜、最後はディズニーランドと観光地が満載です。新キャラクターのヤクザなイケメン弁護士、十文字右京も登場します。
全編通してマサルの激しい恋心が切なくて苦しい。スマートな宙太と不器用なマサルの対照的な性格と恋愛アプローチも本作の見所だと思います。
作者は脚本家なのでまるでテレビドラマのような作風。男性が書いたのに、なんでこんな女心(少女)がわかるんだろうと感心してまいました。男性同士の台詞のやりとりも粋です。大人になって読むと、大人の男性だった作者からの少女へのメッセージが優しいです。