色んな感情が頭を巡って、うまく整理することが難しい。逡巡し立ち止まる。そしてまた考える。皆さまのレビューを読み、また考える。
不条理の最たるものが戦争だと思っていて。幸にして、今日本はその状態にはないけれど。ただ不条理って実はそこらじゅう
に散らばっていて、もちろん自分が生きている中にも、大なり小なりの不条理を目の前に突きつけられ、傍観者としてだけではなく、当事者として、悩み、もがき、傷つき。そんな想いは誰でも持っている。
戦争を目の当たりにして、傍観者としてしかいられない自分と、そこをつなぐものは何だろうかと考えた時に、ヒントのようなものをもらった本がありました。
西加奈子さんの『 i 』。もし読まれたことが無ければ、是非読んでいただきたい素晴らしい本です。
「想像力」。当事者でなくても、そこで暮らす人々や出来事について、考え、想像することはできる。軽々しく理解できるなんて言えないけれど、考えることはできる。
私がレビューを書き始めてよかったと思う最大の理由は、自分がレビューを書くだけではなく、皆さんのレビューを読むことで、想像や考えの共有ができることです。自分だけでは決して見つけられなかった作品と出会うこともある(この本がまさに)。
それがとても素晴らしいことだと思っています。
不条理の最たるものが戦争だと思うと書きましたが、きっかけは空気が揺らぐくらいの気にも止めない小さなことだったかもしれない。それこそ、私たちの周りにもごくありふれて存在しているようなこと。その揺らぎが戦争につながって行くなんて、想像もしないような。
そう考えると、自分に出来ることなど高が知れていると思うけれど、想像し考えることを止めたくないのです。
それが人が人たらしめる理由であると思うから。
戦争で犠牲になる人は、『良い人』でも『悪い人』でもなく、どこにでもいる人たち。
戦争を始める人も同様に、『良い人』でも『悪い人』でもなく、どこにでもいる人たち。だとしたらやはり想像することを止めたくない。そんなふうに感じた作品でした。
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