心温まる甘い愛と優しさにあふれた作品でした。
国のために刀や槍で戦い、争うことが常であった時代、主人公(受)は不憫な生まれのため捨てられて、馬小屋で寝起きするような悲惨な生活をしていましたが、誰を恨むこともなく、自然を愛し生き物を慈しむような心根の美しい少年でした。16才になったあるとき、領主であった無情な父親に命じられて雪降る山奥の小さな国へ姉の代わりに嫁ぐことになりますが、この小さな国の若君(攻)と出会ったことで主人公の人生は一変します。
輿入れの道中、身代わりが知れては殺されてしまう恐怖と、月夜の湖畔や山の頂上の広い世界を見渡すような描写が悲しくも美しく、印象的でした。
特に、運命的な出会い、溺愛、一途な想い、源氏物語、強引なワンマン上司などがお好きな方におすすめです。