一冊とは思えない程まとまっていて良かったです。単純なシンデレラストーリーかと思いきや、そんな事はなく、重厚さとまではいかないものの無理のない時代背景や設定でワクワクさせられましたし、ストーリーが大きく動き出してからは、先へ先へ逸る気持ちで読み進めてしまいました。世界観にブレがないので、ファンタジーにありがちな「おや?」となる場面もなく(あっても後々それがキーになる)入り込んで読めました。BLだと「敢えて同性同士にしなくても…」というようなレビューを時々見かけたりしますが、その辺の擦り合わせと言うかBLへの寄せ方が上手いなと思いました。「性別は関係ない」「君だから好き」というようなセリフももちろん素敵ですけど、「男で良かった」というのはあまり聞かないので、インパクトが強かったです。その決めゼリフまでの持って行き方に無理やり感がなくて「敢えて」のBL設定を最後まで活かし切っての締め方があっぱれでした。