フランの二人の姉は勉学に優れていましたが、其々の行いを見れば、人間性に大いに問題があることが分かります。将来の女王として生まれ付いた運命を鑑みれば、唯二人の想いだけを優先するなど決してしてはならないことだと判るはずなのに、それができていないのです。人の上に立つ人間に必要な素養を学んで来ていないことが大いに問題なのです。王妃アドニラがフランや王に語る言葉からするに、アドニラ自身は優れた考えを持っているのに、子ども達に情緒的な教育を施していないようです。けれども姉達の言い分としては、父王は恋愛結婚だったのに、何故私達は許婚を有無を言わさずに決められているのかということでしょうか。既に生まれた時から決められていたようです。自分の考えや気持ちを言えばよかったのにと思うばかりです。一方、フランは元々持った性質が優れていたのもありますが、ラフェルテが彼を主に育てていたようなので、彼女から大いに影響を受けたのでしょう。
フランがフェリウスと結ばれる話の流れを創りたかったのでしょうが、些か、フランの姉達を貶め過ぎでしょう。ボーイズラブ関連の本に出て来る女性は、大抵性格か行動に問題があるように描かれています。余りにもそれが行き過ぎると興覚めになります。心から物語を愉しめなくなってしまいます。小山田あみ先生のイラストが美しかったのがせめてもの慰めでした。何時ものように先生はいい仕事をなさっています。小山田あみ先生、物語を美しく盛り立ててくださって有難うございました。