『IN THE APARTMENT』も良かったですけど、『続〜』は、もっともっと良い。幼馴染みにも似た関係の2人で流れる時間も空気も穏やかで、多少のすれ違いがあるにしても「このままゆっくり近づくんだろうな」と思っていたけど、静かながらも怒涛の展開があって(しかも何回も)めちゃ濃い1冊でした。時間経過と心情の変化を物語るように見た目がスッと大人っぽく変化していく杉本と、どんどん素直に可愛くなっていく瀬尾が魅力的でした。『IN THE〜』のラストで杉本にも大方の読者にも「なぜそうなるのか?」分からなかった瀬尾の行動の理由が分かった時は、軽い衝撃が走りました。だって私も杉本と全く同じ解釈をしていて「反対の意味に取ってたんかい!」とツッコんでしまいましたから。そして読み返してみたら、確かに…どちらにも取れる反応に描いてありました。当に舌を巻くとはこの事で、先生の豊かすぎる表現力に脱帽でした。少ないとは思いますが、1冊めだけでリタイアする人がいたら、勿体ないのでぜひ『続〜』まで読んでほしいと思う素敵な作品です。