シリーズ第一作目の『錆びた夜でも恋は囁く』でかんちゃんが弓の前で苦悶しながら放った「助けてくれ」という自責の念にかられて出たその心の叫びが、『はだける怪物』でやっと報われた気がする・・・。秀那という人間がかんちゃんの疲れ切った心を徐々に浄化していく過程が見られて嬉しい。ただ思うのは、弓の中では中学の頃からずっと真山を想い続ける気持ちがあって、その気持ちを心の片隅に閉まっておきつつかんちゃんとの関係を長年保ち続けていたんだなあと考えると、複雑。かんちゃんへの想いには嘘は無かったんだろうけど、弓を一途に想っていたかんちゃんがちょっと哀れというか、惨めというか・・・。真山を忘らずにいながらもかんちゃんと恋人同士でいたその期間の弓の心境をもっと掘り下げて深く知りたいなあ。最終的には、かんちゃんも弓も想いをお互い通じ合える恋人と一緒になれて良かったけど。