家にも学校にも居場所がない高校生が、同級生でサッカー部のエースの男と出会い、次第に惹かれ合う。しかし、事故によって関係が変化してしまったが故に拗らせた二人のお話。
学校で一番目立つ稜と一番地味な陽平。控えめで擦れてない陽平に癒やしを感じる稜と人の優しさに慣れてない陽平は性格も環境も全く正反対だけど、だからこそお互いが新鮮な存在であり、出会ったこのタイミングは人の心の温かさを求めていたからこそ、惹かれ合ったのだと思いました。鈍くさい陽平を可愛いと思うのは稜の愛情だし、自分を振り回すような強引な稜に対しても、側にいて構ってくれる優しい人だと認識する陽平の想いは、やっぱり愛情なのでしょう。二人の出会いは最初から運命的だったのだと思います。
事故をきっかけに二人の関係は一変しますが、これは稜の言葉足らずかなと感じました。あの事故で陽平が責任を感じるのも周りに辛く当たられるのも当然の結果であり、稜の側を離れようとするのも当たり前だと思います。陽平の育ってきた環境や性格を考えれば分かることでも、若さゆえ、怪我ゆえか、稜は間違った方向で陽平を側に置きます。側にいて守りたいという独占的な愛情と罪滅しとしても側にいられるならと思う愛情のすれ違い。共依存関係から愛情を真っ直ぐに伝え合うまではもどかしいですが、二人が共に勇気出して想いを伝え合い、すれ違いが解消されて良かったと安心できる結末でした。