最低限しかヤル気を出さない高校教師と怪しい噂が立ちまくる養護教諭とのエッチな交流から芽生える不思議な関係のお話。
上巻と下巻でこんなにも力関係が見事に移り変わっていくお話の構成は素晴らしいと思いました。上巻では、天獄の心のこもってない行動が不思議だしちょっと不気味にすら見えました。青鬼を手玉に取っていく姿はドSの変態だったし、本音というよりも本性を見せない感じで、青鬼に対しての執着も自分のお気に入りのおもちゃで執拗に遊ぶ子供のような無邪気さがあり、逆にそれがミステリアスな雰囲気を醸し出していて、何を考えているのかが全く分からない感じがしました。
しかし下巻では一転、天獄の本質が徐々に見えてきて、本人の自覚のないまま青鬼に惹かれていく過程が丁寧に表現されていて、ようやく色々なことが腑に落ちる感じでした。それと同時に力関係も徐々に変わっていく様子がとても面白かったです。
最初は天獄に戸惑っていた青鬼ですが、彼の考え方が一貫して変わらないのに対し、天獄は凝り固まっていたアイデンティティを徐々に刺激され、ふわふわと柔軟に変化していく様が上手く表現されていました。青鬼の芯がしっかりしていることでお話がブレずに進んだような気がします。
そして、セリフ選びがとても良かったのが印象的でした。所々で、自分にも刺さるような名言がたくさん散りばめられていて、心に響きました。