この作者さんの作品を読むのは2作目で、正直絵柄は苦手な部類に入る。でも、その苦手を吹き飛ばすくらい素敵な作品。
幸せになること、大事にされることを諦めてしまっているすみれのもの悲しい感じや、自分の性的指向に悩み言葉を飲み込んでしまう佑真の苦しさにぐいぐいと引き込まれた。
雑に扱われたいと言うすみれは自己肯定感が低いせいかろくでもない男ばかりと付き合ってきて、佑真が内に秘めた気持ちを吐露するのもそのろくでなしが関わっていて、読んでいて胸が苦しくなる場面がたくさんあった。
それでも、すみれが働くバーのママは適度な距離感で二人を見守り、出会ったときは17歳の高校生だった佑真も大学生になって少し逞しくなり、すみれの内面へ踏み込むことへの躊躇と若さ故の強引さがいい塩梅で描かれていて本当に良かった。
巻末の枕は意味が分かる年代はニマニマしちゃうアイテム。