タイトルや表紙からすると、ラブコメのように思えましたが、ところがどっこい奥深い作品で、よかったです。
恋に奔放な蒼佑ですが、初恋はいとこの『みのりちゃん』。でも再会したみのりちゃんは、男だった。
一時はがっかりしたものの、初恋には間違いはなく、みのりの性癖を知る事となり、蒼佑パニック。
徐々に膨らむ恋心と反するように、みのりの態度に変化が現れ…
頑ななみのりにまっすぐ、ぶつける蒼佑の思い。高校生ながら、蒼佑の方がどっしりと構えているし、ぶれない強さがあってカッコいいんです。覚悟が備わっているみたいに、ほんとにぶれない。子供の時の告白で、みのりに諭された後の反論のように、自分の信じる道を突き進む、そのまま成長したようですねぇ。みのりが受け入れられないワケには、学生の頃の辛い過去があり、トラウマが邪魔をする。でも、それさえも打ち砕く蒼佑の強さが、素敵です。彼等の背中を押したのは、みのりの弟、誠くん。兄の性癖と苦しみを知る唯一の理解者。この誠くんの言葉が重くて深いんですよね。さながら、蒼佑が惑うみのりを上から引き上げるなら、誠は下から押し上げる支えとなる感じかな。素敵な兄弟愛です。
『放浪犬と迷い猫」でも、当て馬的な南室くんが、ナイスアシストでした。先生の脇役さんは、主人公らのグジグジした悩みをサポートするいい役割で、いい人です。南室くんも誠くんも、清々しくて好き。まぁ、何はともあれ、人目を気にせず自分らしく生きて欲しいと願います。おめでとぉ~。