人生に疲れた社畜リーマンの元に、昔面倒を見てやっていた子供が成長して転がり込んできたことから始まるお話。
何の為に生きているか分からなくなっている浩国の元に突然やってきた甲斐。急に始まった同居生活ですが、良く食べ、良く眠り、人と関わっていくことで、人間らしい生活と心が取り戻されていく様子が丁寧に描かれ、じんわりと心が温かくなります。
また、甲斐の生い立ちや過去はとても辛く、諦めることを普通だと言い、しょうがないと自然に受け入れてしまうのが切なくて苦しくなりました。ちょっと表情がないのは、自分を殺して存在を消して生きている証拠のようで、何も期待しない、何も求めない甲斐も生きる実感を探して辿り着いた先が浩国のところなのかなと思いました。
話相手になってとか晩御飯を作ってという些細な願いが甲斐の存在意義を作り、そうやって面倒を見てもらうことで浩国の生きている実感が取り戻される。お互いにとってお互いが必要な存在であることがとても尊いと感じました。
社畜話が長く、BL展開は必要ではなかったかもしれませんが、お互いにとって相手がとても大切な存在であることは良く伝わりました。愛情というよりも、情愛に近い感情のお話だと思います。