ストーリーはよかったです。
でも、「切ない表情」とか「悲愴なセリフ」とかが前面に出すぎて、上滑りしてしまう感じで、私の心にはあまり刺さらなかったです。特に、ジーンの「切なげな微笑」が頻繁に描かれるのがどうしても苦手……。
そして、ジーンはどんだけ特別な存在なんだ、というのも引っ掛かってしまいました。周囲が実在を疑うレベルの希少体験を、ジーンはそこらのモブ相手に何回もしてるって、無理がありすぎる。
でも、ラストはお涙頂戴の展開にせず、未来志向に舵を切ったのは好きです。腹を据えたジーンの、突き抜けた笑顔が素敵。
あと、せっかく「浮き世離れした寄宿学校」というおいしい舞台設定なのだから、個性豊かな生徒たちの日常や友情をもっと見せて欲しかった。カバー下にあるキャラ設定を、本編の中でしっかり見たかったです。個人的に、シユ(ジーンの親友)とジーンの関係をもっと描いてほしかったな。