いじめを受けて死を覚悟した自分を救ってくれたもう一人の自分の存在。そこから繰り広げられる自分がいる世界と影の世界との不思議なお話。
読んでみて、こんなに言葉が出てこない作品ははじめてでした。どんなに考えても、どんな言葉を当てはめてみても、この作品を上手く言い表すことが出来ない。それがこの作品の一番の良さであり、不思議さであり、難しさであると思いました。
パラレルワールドのようであり、多重人格にもとれるようでもある不思議な世界。自我の存在や、存在意義を探りながら、愛することの幸せを感じたり、歪んだ愛で相手を傷つけたり。これはどういうことなのだろうと深く考えたりすることなく、この不思議な世界を、仄暗い雰囲気にどっぷり浸かって味わうように読んでほしい作品です。