「4月の東京は…」のスピンオフと続編です。スピンオフでは蓮の兄恭平のお話と蓮のフランス時代からの兄貴分八神のお話、2CP入っています。
どのお話もとても良かったです。ハル先生は登場人物の心理描写がとても上手で、各々の視点の話できちんと気持ちが汲み取れるので、読んでいてモヤモヤすることがありません。逆に気持ちが手に取るように分かるからこそ、すれ違いや上手く伝わらない時のもどかしさなど、その世界にどっぷりとハマれるので心が揺さぶられる場面が多いです。
八神と博通のお話では、途中から薄々そうだろうなと匂わせがあったので、展開に驚くことはなかったですが、お互いの告白の仕方にはそれぞれの個性が出ていて愛を感じました。どうにも出来ない現実と抗えないくらいの激情のぶつかり合いはにはリアルさと深い愛があったと思います。三つ子が生まれての偽装解消&お互いにパートナーの元へというオチには少々驚かされましたが、とても素敵だと思いました。
恭平と神宮寺のお話は、対照的にとても荒々しく、まだ愛が結実されていません。だからこその反発的なやり取りや体に教え込むエロさは満点です。この二人はどうなっていくのか、続きがあるようなので今後を楽しみにしたいと思います。
そして、蓮と和真の続編は愛に満ち溢れていて感動のラストでした。あの両親から何故和真のような素直で一途な子が育ったのかは不思議ですが、二人の想いの強さをカタチにする事ができて、本当に幸せを感じられる結末だったと思います。
ページ数はちょっと少なめですが、「4月の東京は…」が好きな人には絶対に読んで欲しいです。