霊を祓う力を持った大学生が、異常に霊を引き寄せる体質の友達の除霊を日々行っていたが、ある日ついに体を乗っ取られる事態が発生し、事故でえちをしてしまったことから始まる恋のお話。
真面目に除霊をしているまっすーと、自分にだけ濃密に接触してくるまっすーを意識する柴。まっすーからしたら身近な友達にあんなに霊が憑いていたら除霊しなきゃと思うし、柴にしたら自分にだけスキンシップが多いのは好きの表れだと思うのも至極当然。お互いの視点から見るとごく当たり前の行為が、霊が見えるという視点を加えるだけで、こんなにも面白おかしくすれ違うのかと、全てが分かっている読者は笑いながら楽しめます。そして、触らないと除霊出来ないという設定が誤解を生む始まりでありながら、触れないと物足りないという意識の変化に気付く役割を担っているのが上手いなぁと感心しました。そんな二人を友達や霊たちがナイスアシストしながら両想いになる過程は、切なさと面白さと恐さとエロさが入り乱れて、最高に良かったです。霊が見えるというちょっとファンタジーな設定をリアリティたっぷりのストーリーに仕立て上げた手腕はぜひ一度読んで欲しいと思いました。
最後に、私の推し幽霊は最初に柴に憑いていた仰げば尊しを大声で歌う幽霊です。あのド真面目な感じがある意味とても幽霊っぽい。幽霊も色々な種類が出てきて、それを見るのも楽しかったです。