このロスタイムは静かで切なくて甘くしびれました。
つくしの表情や言葉に寂しさが滲みでてたまらなかった。
好きな人は好きなままなのに、ふとした仕草に苛立ちを覚え、腹立たしくて傷つけてしまいたくなる。その苛立ちを言葉にすると陳腐になってしまうような感覚。
どこかカチリとはまらない。
だから、修復が上手くできない。
桐生はどこか平静を装うところがあるのかな。
そばに居てほしい、温もりを感じていたいと思っているはずなのに言葉にすることが出来ない。
そんな桐生が最後に見せた絞り出すようにすがるように誘った車内の二人は、決戦ではなく、静かに本を閉じるようにピリオドを打つ準備のようで胸が締め付けられてしまった。
暮らしの中で、どうでもいい日々ではない二人の時間に、想いを抱いている人の中に自分の存在を感じられない寂しさ。
寂しさは孤独をひたひたと連れて来るからいけない。
恋人の時間は喜怒哀楽が何枚も薄皮を重ねるように積み重なっていくのだろうと思えるエンディングでした。
とても素敵な恋人たちの作品でした。
**205ページ**