高校生の日向は毎朝の電車で通学中に本を読むことにしていた。ある朝、自分の肩越しに本をのぞき込んでくる金髪のヤンキーと出会う。余りに熱心にのぞき込んでくるので、電車を降りる時にヤンキーについ「貸す」と言ってその押し付けてしまう。自分の好きな世界に興味を持って貰ったのが嬉しくて。下校中に駅に行くとそのヤンキーに又会う。どうやら彼は降りた駅で待っていてくれたみたいだった。自分が渡した本を久しぶりに読んだという彼に、その小説の良さを思わず熱く語る日向だったが、彼は「主人公が独りよがり」などとその小説の欠点をあげつらう。同好の士に遭えたと思っただけに、突き放された気持ちになってしまい「(その小説に)欠けたところも含めて愛している」と言い捨て彼を振り切るように電車に乗る日向だった。