シグナルシリーズ2作目、シグナルにも出てきた芦原の友人榊とその取引先の担当者でノンケの岡田との恋のお話。
シグナルの時のちょっと意地悪な雰囲気とは違い、ノンケへの想いに悩む榊。所々で語られる榊の過去の想い人は田町なのでしょうか。はっきりとは語られませんが、前作で全くそんな風に感じさせなかった榊に、ノンケへの恋心のツラさが表現されているような気がしました。そんな榊の目に留まったのはまたしてもノンケの岡田。初めて会った時、泊めてくれた翌日駅まで送ってくれた時、えちをした翌日の朝のコンビニ帰りなど、所々で榊がハッとする顔をした時に、榊は岡田に恋に落ちているんだなと伝わってきました。落ちてしまえば、どんなに抗っても逆らえないのが恋の難しさだなと思います。
ノンケの岡田にしてみれば、気が合う人に出会えたのに友達にはなれず、忘れるか付き合うかの二者択一しかないのはなかなかに厳しい選択。最初は男同士の触れ合いを拒否するものの、榊のことが何となく気になり一步踏み出す関係になります。今作では結ばれるものの、二人の気持ちがまだはっきりと見えない感じですが、次作の「初恋のあとさき」で二人の後日談がのっています。そこでようやく二人の気持ちや関係性がはっきりと表れるので、ぜひそちらも一緒に読んで欲しいです。
ゲイとノンケの恋の難しさや抗えない切なさなど、大人の恋の苦悩が詰まった一冊です。