やっぱり大作家さんは違うなぁと…試し読みのたった3ページで掴まれました。のんびり普通の始まり方をしたと思ったのに、3ページの鮫島くんのセリフに「えぇ!?」となり、まんまと先を読まないではいられなくなり、購入に至りました。
先生の作品は『滅法矢鱈と弱気にキス』から入りましたけど、とにかく独特で無二の味があると思います。人によって意見が分かれそうなのが文字の多さで、普通のコミックの1.5〜2倍はあると思います。セリフも心情もどちらも多いので読むのに時間がかかります。でもその分読み応えは半端なくあるし、読者が知りたいと思う以上の心情の細かい変化まで分かるので、よりリアリティもあって実感が湧いてきます。
普通にしてればイケメンで通りそうな鮫島くんが、笹原くんを前にするとちょいキモくて若干変態寄りの挙動不審者になって、でも純粋に一途に(やや一方的に)気持ちをぶつけるシーンを繰り返すうちに、笹原くんと同様に私も可愛く見えてきました。
一方的といえば、好きを受け取る側の笹原くんもかなりのマイペースの持ち主だと思いました。そんな二人だから、会話もスキンシップもキャッチボールというよりボクシングみたいな打ち合い・取っ組み合いみたいで、ケンカップルとはひと味違う奥深さがあって楽しかったです。