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非常に染みる実兄弟もの。
田舎の縁側のある家、夏の気怠さ、夜の海、そして嵐。それらの空気感と兄弟の思い出や心情が素晴らしくマッチしていて、どこが良いって聞かれると困るんだけどとにかくなんか良いんだよ!という仕上がりになっています。
奇をてらわない、兄らしく弟らしいキャラクターも良かった。
夜の海のように先の見えない闇の中、それでもお互いを見た時に胸に灯るあかりを頼りに、ずっと二人で歩いて行く。閉じた中にも前向きさがある、静かな幸せを感じました。
兄と弟、双方から近付いていく感じも良かったです。
あと、作中の「兄弟じゃなかったら……」「どちらかが女だったら……」という弟の問いに対する兄の答えが、自分の感覚と完全に一致。特に後者の問いは滅多に触れられない気がするので、作者さんと握手したい気持ちでいっぱいです。