セトウツミ
」のレビュー

セトウツミ

此元和津也

生涯大切にしたい作品に出会いました。

ネタバレ
2021年12月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 拍手喝采!!"スタンディングオベーション!"涙で視界不良です。
すんごい作品にまた出会ってしまいました。読み終わった後、色々衝撃的過ぎて数時間程ボーッと考えてしまいました。時間が経った今でもまだ胸がワサワサします。
全巻通してもうずーっと、上質な漫才を観ているかの様で、その天才的なユーモアセンスに感心すると同時に、終始ゲラゲラと笑いが止まりませんでした。もうやめてくれ…と言う程腹痛かったです笑。笑いコケました。毎話の起承転結、そして最後にしっかりオトしてくれる感じ!凄すぎる。知識量、語彙力、言葉の使い方、笑いのセンス、キャラ設定、発想、構成、展開…脱帽です。
最終話までずっと笑いっぱなしで読み終わるかと思いきや…なんと最終巻でのあのどんでん返し!自分の中では、まるでコペルニクス的転回とも言えるのでは?!と思ってしまう程衝撃を受け、突然きた感動の波に一気に涙が溢れ大号泣してしまいました。今まで大爆笑していた自分は一体何だったんだ…と思ってしまう程でした。でも確かにずっとモヤモヤとした感覚はあったんです。読んでいる最中はそれが何なのかわからなかったけれど。ずっと心の中でつかえていた「これ様子がおかしいぞ」感が一気に払拭される様でした。読後の作品への見方や印象、考え方が一瞬にして変わりました。
そうかー…ただ川で漫談していただけだと思っていたセトウツミというふたりの人間の背景には、そんなストーリーが隠されていたんですね。「笑い」という、一見辛さや苦しさを連想させない事象の裏で、実は煮え切らず燻ったままの思いやもどかしさを抱え続けていた青年ふたりの心情。もう形容できないですね。ただ、読みながらも、読んだ後も変わらず思ったのは、このふたりの間には確固たる絶対的な何かが築かれているんだなあという事です。それが何であるかというのは何でもいいと思うんです、友情でも絆でも愛でも。ただお互い自分にとって大事な存在であるから、救いたいと思ったし救われたいと無意識にでも思っただろうし。。もう最後まで、隠れた愛に溢れた彼らの関係に惚れっぱなしでした。心奪われます。
「笑い」の面白さだけでなく、ユーモアを通して、大切な事にたくさん気付かせてくれて、考えさせてくれる作品でした。人生の哲学が沢山詰まってますね。この作品に、セトウツミのふたりに出会えて、本当に幸せです。生涯大事にしたい作品です。
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