薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】
」のレビュー

薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】

中村明日美子

トップクラスの芸術品✨✨

ネタバレ
2022年3月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 明日美子先生は神にも等しい存在です。
その神が創りたもうた芸術品の中で、私にとっての最高峰は、この「薫りの継承」です。
好き過ぎて頭も日本語もおかしくなりそうですが頑張って書きます。
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どこを開いてもため息が出てしまう2次元に展開される線の狂瀾。
耽美とインモラルの洪水を貫く、たった一つの愛の成れの果て。
その読後感は他では味わう事ができません。
胸を掻きむしりたくなる幸福と、泣きたいのに泣くための元を見失ったような虚無で、心の置き所が無くなってしまいます。
………
一月に約150作品のBLを読んでいますが、萌える、蕩れる、泣ける作品にはわりと出会えます。
しかし、「疼く」作品には今まで数作しか出逢えていません。
この「薫りの継承」は“疼く”作品の中でも1、2を争います。
フィジカル的にもメンタル的にも女性性の私がBLを読んで疼くほど、その描写と伝え方はとてつもないエロスです。
禁忌を地雷にさせず、官能のための必要悪だと納得させる以前に感情の方を揺さぶってきます。
性の禁忌を重ねに重ね、何重ものタブーが読み手の現実を席巻してしまいます。
ストーリー、世界観、タッチ、画力、表現。
全てがトップクラスのツールで、
背徳、執着、覗き、ショタ、人前、目隠し、羞恥。
あらゆる性 癖に呼応してくれる。
まさにBL界の至宝です。
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埋まらない距離、埋まらない虚無。
熱と情動に流されたのか意思なのか愛なのか。
心情について語ると大いにネタバレとなってしまうので書きませんが、一筋縄では行かないながらも、絵で伝わる「ここ!ここなのよ!」と解ってしまう喜びに溢れています。
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超名作なので読んだ人の方が多いと思いますが、もし未読ならぜひ時間に余裕のある時にオススメします。
そして最低でも3回は再読して欲しい。
衝撃のラストをどう捉えるか、読むたびに変わるかも知れません。
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個人的にこのレビューが300作目なので、大好きな今作を選びました。
読み返したら支離滅裂ですが、これが今の私の精一杯です。
お目汚し失礼しましたm(_ _)m
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