VOID
」のレビュー

VOID

座裏屋蘭丸

218ページで990円という強気な価格設定

2022年8月11日
本作「VOID」で座裏屋作品の単行本をコンプリートしました。価格も評価も高くて、どうやら期待値を上げ過ぎていたようです。この値段なのはページ数が多いとかかな?と勝手に思っていたのですが、読んでみると218ページと特別に大ボリュームな訳でもなく。限定受注販売という紙本発売時の事情に関係しているのでしょうか。当時のファンしか手にすることが出来なかった限定品を、こうして手軽に電子版で入手することが出来るのは、とてもありがたいことではありますが、この値段ならR18版のまま販売することは出来なかったのかな?なんか値段と読後感が釣り合わなくて、評価☆4か☆3かでずっと揺れている自分がいます。作品内容としては☆4です。

画集のような美しい表紙、モノクローム映画のような品のある各ページの描き込み、肉体美、ふんだんなエロ、と座裏屋作品としては間違いのないクォリティでした。
「VOID」という謎めいたタイトルや、印象的な扉絵の鳥籠が、作品に深みを増しており成程上手い。攻めの過去も苦味や緊張感があり、良い。
ただ、ヒューマノイドという人工的な存在が相手で、しかもかなりの事情を把握した人の手を介して出会うという始まり方で、彼とどういった恋愛が出来るのかという重要な部分が深掘りされていないように思いました。攻めの心情変化はとても丁寧でしたが、では受けは?
私は座裏屋作品は長編より1冊で終わっているものの方が好きなので、本作も1冊完結で全く構わないのですが、もう少しヒューマノイド自身の恋心の在処を掘り下げて欲しかったなと思います。

座裏屋先生のエチシーンは、他作品などでも純愛・非純愛に関わらずガッツリエロいのですが、不思議と品があるのはやっぱり画力ですかね。感じてる受けがちょっと控えめにピュッといっちゃうとこが好きで、いつも、あ〜これこれって思って読んでますw
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