イキガミとドナー 二人のイキガミ
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イキガミとドナー 二人のイキガミ

山中ヒコ

この作品に出会うために今までBL読んでた

ネタバレ
2023年4月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品に出会うために今までBL読んでたんだーって思う瞬間がたまにあります。このスピンオフ作品も読み終わって特にそう思いました。

イキガミとドナー上下巻の続編(スピンオフ)。なるべくなら本編上下巻読んでからこのスピンオフ上下巻読んでください。
二人のイキガミというタイトル通り、本編で明かされてた上司の柴田さんに深い関わりのあったイキガミとの過去編が中心となる上巻、10年経ち時系列で本編ラスト後もうひとりのイキガミ滝くんとのお話、そして続くエピローグが下巻。

上巻表紙はスーツの若い柴田さんと赤髪のイキガミ、目を合わせずに抱き合っててイキガミは慕っている表情。下巻の髪下ろして緩い服を着た柴田さんと、離れないよう掴まえてるイキガミの滝くんとは目を合わせて。この表紙の対比も素晴らしい。。作品中でも少しの目線と表情の違いで気持ちを表す繊細な絵です。

どうして柴田さんが本編ラストであの行動をとっていたのか、その理由をもう知ってた、知ってたけど。。って、まず上巻で泣かされ、柴田さんの自分へ向かう苦しみは滝くんの清冽な明るさに救われて、下巻の幸せなひとときのエピローグで泣かされ。。。辛い涙だけではなくて、心和んで笑わせられるシーンもたくさんあって、時に重くなりがちな展開を明るくしてくれてます。

ヒコ先生のTwitterを拝見して推察される先生のお人柄や考え方がとても好きなんです。Twitterで小さなお子さんもいらっしゃる事を知り、守るものがあるとこのような自分を犠牲にする究極の愛をテーマにした作品が生まれるのかな、とも思います。
この作品はファンタジーですが、特に、あるシーンの子ども兵の描写は現実とリンクしていて辛かった。きっと作者さんもその思いで描かれたのだと思います。少年兵は戦場ではあいたくないと何かで読みました。全くためらいなく引き金を引くから、と。あの子も小さい頃に隔離され言われた通りに遂行するよう育てられてたのだと思うと最後の言葉も含めてほんとうに辛い。
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