カメレオンはてのひらに恋をする。
」のレビュー

カメレオンはてのひらに恋をする。

厘てく

圧倒された!

ネタバレ
2023年9月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 発売を楽しみにしてた厘てく先生の新刊。期待大で読んだけど、全く裏切られることはなく、むしろすごく良くて感激した!
動の漫画です。そもそも漫画は絵で動きを表現するものだけど、通常の10倍くらい動いている!と感じた。でもそれがうるさいわけじゃなくて、目まぐるしく変わっていく光景に惹き込まれてワクワクする。次は何が飛び出してくるんだろう、何を感じさせてくれるんだろうと、読みながらずっとドキドキしてた。こんな作品初めて。とても新鮮で面白い。
絵でこれだけのことを表現できるんだ。絵の表現力って無限なんだなぁと感動した。テーマと合わせ、すごい意欲作だと思います。

「伝えたい」という気持ちは誰もが持っていても、「伝わった!」と心の底から実感できることはそうないのかもしれない。
特に伝えたい欲が人一倍あるのに、表現が大仰過ぎて俳優としては評価されないフジナガも、明るくて余裕ありそうに見えて実は伝えるためにいつも必死なケイトも、2人とも伝えたいことがたくさんあって、でも理解されずもどかしい思いをして。そんな二人が出会って、わかり合おうとぶつかっていく。
違う言語を持つ二人だから時に戸惑う事もあるんだけど、決して諦めずに伝え続けようとする、その懸命さに胸が熱くなった。
お互いに聴こえていたって気持ちなんかそう簡単にわかるもんじゃないから、ハンディがあればそれは尚のことだと思う。それでも二人は不安な時こそちゃんと目を合わせてお互いをしっかり見る。勇気ある2人でいて、そこに恋の照れ臭さやドキドキが混じるのがとても良かった。
とにかく始終2人の目の力強さが印象に残る。画面から溢れ出る伝えたい!という熱量に圧倒された。
片方だけが影響を受けたり助けられるんじゃないところがいい。懸命に伝え続けた2人の想いが通い合って、最後は幸せな気持ちになった。
2人の恋も夢も始まったばかり。これからどう広がっていくのかとても楽しみ。
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