堕落家族論
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堕落家族論

鶴亀まよ

BLとしてのキュンを求めるとちと違うかも

ネタバレ
2024年9月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 鶴亀まよ先生の新刊、ということで買うかどうか悩んでいる人もいるのでは、と思うこちらの作品。亡くなった凛々子の父親候補として、仙太郎と藤馬が呼び出され、残された娘めぐると同居して、どちらが父親かを決めることとなって…?で始まる、新しい家族の形を模索する物語、といいましょうか。読んでみると、そういうヒューマンドラマがメインで、CPがBLだった、という印象。BLならではの萌えやトキメキを求めて読むと、ちょっと期待外れと感じるかも、と思いました。
【以下、ネタバレ】
登場人物の中で感情移入できるのが、いかにも良い人の、作曲家らしい仙太郎。元々、人から愛されて育って、幼少期からピアノを習っていた男子が、偶然バンドに入って、作曲することにやりがいと見出したのに、いつの間にか搾取される側になって心をすり減らしていく展開は心苦しくて…。そんな環境から抜け出すきっかけを作るのが、藤馬とめぐる。めぐるはホントに君は6歳児か!と思う達観ぶり。クールだけど愛情に飢えている藤馬。この3人が、共に生活する中で、どこか虚ろだった心の中が、信頼関係が芽生えて満たされていく過程が描かれて、既成概念にとらわれるな、家族の形は人それぞれでいいし幸せの形も人それぞれだ、という大きなテーマが浮かび上がるんです。それが「堕落家族論」というタイトルに表わされているかなと。

そんな風なヒューマンドラマ、として読み始めたら良かったんだと思うのだけど、BL作品として読むと、淡々と物語が進んでいってて、恋愛面での感情が盛り上がり切らずに終わってしまった印象なのと、チビ絵が大味で、若干満足度が下がってしまったかな…という読後感でした。個人差あると思うのですが、もし参考になれば。先生ファンの方、ごめんなさい(汗)
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