もう少しだけ、そばにいて
」のレビュー

もう少しだけ、そばにいて

白野ほなみ

予想外の、とんでもないヒューマンドラマ

ネタバレ
2024年9月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 紹介文は非常にポップで明るい。
だが、「ボーイズラブストーリー!」どころか、バリアフリーの現実、半身不随の苦しみや尊厳死など…これはとんでもないヒューマンドラマだと思う。

お互いを愛するがゆえに苦しくなっていく2人を見ているのが辛く、序盤から泣きっぱなし。
特に車椅子の晴人が尊厳死を「お守りにして生きる」という言葉は想像がつかず衝撃だった。

読んで痛いほど感じたのは、2人だけの世界に穴を開けて周りの風を入れることが大事だということ。
周囲(特に先輩、ひょうひょうとしているのに頼もしい!)を巻き込むことによって得られるちょっとした言葉や協力で、八方ふさがりの苦しい状態にあっても良い方向に変えることができる。

そして、諦めざるをえなかった夢があったとしても、2人でならまた新しい夢に向かうことができるという展開に、読んでいるこちらも希望と勇気を貰った。

事故に遭った同性カップルに焦点を当てているが、家族の介護など、誰にでも起こり得るテーマだと思う。
作者様が並々ならぬ覚悟を持ち真剣に臨まれたのだとわかる、本当に素晴らしい作品で心に深く響いた。
この作品を創り上げてくださり、ありがとうございます。
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