アノマリーライフ
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アノマリーライフ

日高ショーコ

曾祖父の2人への大きな愛が沁みる

ネタバレ
2025年1月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 日高先生のBL新刊!ということだけで思わず即ポチ!
主人公は、異質な能力を持つ幼馴染の親戚同士の2人、一つ上の晶と年下の蛍。晶には未来が、蛍には既に起きた過去が見えるという特殊能力があり、その特殊能力があるがゆえに、ある組織から狙われてしまう晶を、10年前の出来事がきっかけで離れていた蛍が、苦慮してきた能力を使って救い出しに行く、というミステリアスなラブストーリー。
ある意味、マイノリティーであるがゆえの生きづらさを描いている面があったり、他人にはない能力があるが故の苦しみを描いていたり、未来が見える晶と、過去が見える蛍が組み合わさって、目の前にいる蛍が、今生きている蛍ではなかったり、という仕掛けに満ち溢れていて、最初は何が起きているのか分からない、けど、日高先生の描くBL男子に飢えていた身にとっては、頬を染めたり照れたりする2人を見るだけで、心がうるおい、絵を堪能した後、ストーリーを噛み締めて読んで、そういうことか、と理解が深まる楽しみがあって、さすが日高先生、上下巻といえども1度読んだだけでは決して終わらせないストーリー展開が素晴らしかったです。

2人の能力の違いも興味深くて。蛍は晶と一緒にいると、過去の存在が見えなくなる。それに対して、晶は、蛍といると蛍との未来の姿(がムフフなのですよ!)が見えてしまうというギャップがね…。しかし、お陰で特にゲイとうわけではない晶も、蛍との将来像に対する耐性が着いたのではないかと思うので、良かったんでないの?と思うのです。男同士の壁よりも、能力があることを隠さずに済むかどうかの壁の方が高いと思うので、一緒にいることがお互いの救いになる2人。でも、恥ずかしさの壁は高かったのでしょう、晶にとって。
その10年分の思いが募った後の、2人のシーンは何ともエモい!!!のです。
それにしても、この2人を取り持ったのは、2人が幼い頃亡くなった僧侶である曾祖父の存在なのです。ストーリーを読み込んでいくと、曾祖父には2人の未来も見えていたのかな…、どこまで見えていたのかな(照)と妄想も滾るのですが、我が身よりも、この世に残される若者達を案じて導く、慈愛に満ちた姿が、印象に残りました✨はぁ、ひいおじいちゃん、素敵✨のまさかのひいおじいちゃん萌え作品でもありました(笑)!
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