午後の光線
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午後の光線

南寝

すごかった

ネタバレ
2025年1月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何十年経っても胸に刺さった痛みと衝撃が抜けない作品があることを、人生折り返しを過ぎた自分は身をもって知っています。読み終えてから表紙を見ると、午後の光線を受けたその横顔と表情に、胸が詰まって苦しいです。あの頃にしかなかった種類の痛みと、ある意味今より身近で神聖にすらみえた死。どうしようもないことたちへ怒りをぶつけようにも、水中で振り上げる手足のように手応えがありません。達観した淀井の言葉と、飯田と柿沼の友情。すんなりとは表に出ないけれど村瀬の中にある沢山の言葉たち。美しくて残酷で儚い瞬間の、とても心に残る作品でした。
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