フェアプレイ・フェアラバー
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フェアプレイ・フェアラバー

日乃チハヤ

対照的だけど恋愛初心者同士の成長譚…!!

ネタバレ
2025年2月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品、1巻から良かったけど、2巻はさらに2人の心情の機微、変化そしてそれぞれの成長が描かれていてすこぶる良かったと思います!

身体から始まって、それ以外期待しない男同士の関係の居心地の良さから変わる関係性を描いた1巻に続く2巻では、主に受けの史ちゃんが、幼い頃から感じていた違和感が描かれていて。まるで、自分とそれ以外の世界の間に薄膜が張ってあるよう。家族ですらその薄膜の中にははいれない空間の中で生き、勝手に期待され、失望されて、逆に他人に期待することもなく大学生になった史ちゃん。
そこで出会った、まあまあクズでひまづぶしにちょうど良さそうな相手だった諏訪。
諏訪は、自分でも語っているとおり、漠然とした万能感を持っていて、社会と自分とが一致していることに疑問を抱いたことすらないタイプ(男子にありがち)。そんな自己認識としては対照的な2人が、身体がマッチして始まった関係ながら、史ちゃんにとっては始めて自分に過度の期待を押し付けず、素のままの自分でいられる相手だったことで生まれる変化が、可愛いんですよ。このクールな見た目と態度なのに、恋愛初心者で、自分の中に沸き上がる感情に戸惑い、諏訪でなければならない理由があることを自覚して、その思いを伝えるまでの変化が、とっても尊い。
印象的なのが、諏訪がいることで、初めて自分の内面をさらした状態で母と接して母の愛を感じたことが、諏訪がかけがえのない存在だと気付いたところで。史ちゃんのお母さんからしたら、手の届かない存在になっていた我が子のそばに能天気な諏訪がいたお陰で素の史ちゃんに会えたんだよね。その母の喜びを実感した史ちゃんが、諏訪をかけがえのない存在だと確信する過程にジーンとしました!

ラストにかけて身体の関係から始まりながらも、お互いに将来像を描きたいと一歩踏み出し、恋愛初心者同士がお互いをかけがえのない存在だと気付いて成長していく過程が尊かったです🌷

そして、その感情の変化に伴い、エチのときの史ちゃんの表情と感度が変化していき、諏訪がそれにのめり込んでいく姿が描き込まれ、何度も出てくるのにエチシーンに飽きがこなかったのはさすが✨史ちゃんをおおっていた薄膜が剥がれた結果1巻ラストの友人との結婚式に2人で出席するシーンに繋がったんだと思うと感動…2人の互いの両親との絡みも見たいな。乞番外編!!
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