ヒメにいはおぢさん
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ヒメにいはおぢさん

えだちほほ

上げ下げの構造と攻防が新鮮…なんだナ🌱

ネタバレ
2025年2月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 裏垢男子大学生なー。くんと、おぢさん構文攻めの新進気鋭の若手起業家「ヒメにい」の組合せによる、これまでになかった攻防が新鮮な本作。まとまってから読むと、社会的な地位でのスペックの高さと、恋愛というジャンルでの若者が強者で、中年が弱者という逆転現象を暗に前提にしている読者の心をかき乱す作品作りがうまいなあ、と思いました。

ヒメにいのくり出す、おじさん構文。正直、アラフィフの自分でもキツくて「5,60代のオジさんならともかく34歳の若手起業家がわざわざスマホでそんな面倒くさい文面打つかいな?」と思う仕上がり。単行本では、そんなヒメにいが、どうして社長にまでなったのに、裏垢男子の投稿にDMまでするようになったのかが描かれていて。ハイスぺが過ぎるあまりに、社長にまでなったものの、孤独を抱えていたヒメにい。そんな彼が生きる意味を考えて自分を解放するようになった中、画面越しに出会ったなーくんにハマって、日中、表には出せない自分の性癖を衝動的にぶつけてしまう様子に「…会社では、コンプライアンスでがんじがらめになる中、AVか何かのファンタジーから学んだ、してみたいことを若い子にぶつけて、その背徳感に興奮しているのか…?」と、思わず想像してしまうほど。

恋愛においては、若いほど強者な現代社会。なーくんは、いかにもおぢさんなヒメにいを下に見てて(ここまでは読者も共感して見守る)、試しに会ってみたら、予想外にイケメンでハイスぺなヒメにいに動揺(読者も動揺)。ヒメにい、30代半ばなのに、なーくんの前では自ら「おじさん」と自称して、恋愛面ではなーくんの方が上だよ、と紳士的に振舞いながら、ベッドの上ではおぢさんの本領を発揮しちゃうキモうざさ。なーくんも、そんなギャップに戸惑い(読者もしかり)、ヒメにいの変態ぶりと、なーくんに恋愛感情を全振りしてしまう不器用さにときめき(読者も応援しだす…!)、「こんなはずじゃないのに」と「やっぱり変態おぢだった!」の思いを反復横跳びするなーくんがいつの間にか収まるところに収まる過程を固唾を飲んで見守ってしまう作品作り。いやはや、お見事!
いわゆるエロ漫画との違いは、ヒメにいがなーくんを下に見ないで対等な存在であろうとするところにあるのかなと。キモうざいけど、純愛、という意外性が👍読み手もおぢさん構文に侵食されるゾワゾワ感も良き
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