このレビューはネタバレを含みます▼
シリーズ第1作目となる本作、少し前に買って読み、あっという間に魅力されたのですが、「シリーズを読破するまでレビューは書くまい(書けない)」と温めていました。ようやく読破したので書きます。
ほとんどの長編シリーズ作品は新しいものが出ると以前のものがやや陳腐化する印象ですが、本シリーズにおいてはそれが全くない。むしろ何回も読み返しさえする。私も幾度となくこの『同級生』に戻ってきたし、何度読んでも胸がときめいてしまいます。
私が本作において(そしてシリーズを通して)好きなのは、草壁光くんの口調の優しさ。見た目もそうだしバンドをやっているしパンク系なのに、言葉の語尾が「〜だよ」「〜だね」「〜なの?」というふうに、キツい言い方を絶対しない。言い争いのときでさえそう。それがそのまま作品の優しさにも通じている気がします。
そして人物の表情や言葉の間、空気感で登場人物の微妙な感情を表現していく作者さんの力量の素晴らしさ。この作品に出会ってからまだ日が浅いのですが、教えていただいたシーモア島の皆さんには本当に感謝です。