名作と言われて気になっていた本作。
いいなぁ。
炭酸がシュワシュワと弾けるような、甘酸っぱくて躍動感ある感じ。
高校の同級生2人が恋に必死になり、流れる汗が溜まってしずくになる様子。
モダモダというより、ド直球で投げられるボールを真正面から受け止める感じが、読んでいてとても清々しく気持ちがいい。
だが一方で、余分なものを省いた独特の描写が輪郭を柔かくし、まるでペットボトルの液体越しに覗いているような曖昧さも感じさせる。
彼らの世界はもう自分には過ぎ去り手の届かない時間なので、そう思うのかもしれない。
同じ背丈の2人、肩を並べて歩く様子が輝いていて何とも眩しい。
ストーリーは爽やか(ノー致し)なのに、色気を感じるのはやはり先生の絵柄や描写のせいだろう。
特に七三ストレート黒髪メガネで切れ長の瞳を持つ佐条、彼の俯きがちで下げられた目線、隠された秘密があるように感じられて大変よろしい。
その佐条の下げられた目線を、上に向けさせてしまう草壁が何ともカッコよく頼もしい。
今の時代は問題かもしれないが、音楽教師のハラセンもいい仕事をする。
ところで草壁の植物のツタのようにピョンと飛び出る毛束、あれはパーマなのだろうか。
自分はくせっ毛なのだが、あんな風に洒落た感じにならず、それどころか朝は大爆発するので、ちょっと憧れる、うらやましい。