トーチ
」のレビュー

トーチ

ニャオスキー

ネタバレなしでと思いました。

ネタバレ
2025年5月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「マジックアワーの恋人たち」で知った作者。
過ぎ去った過去と今を本当に美しく結び描かれるなと、感動します。今回もまたタイトルが良いなと、読み終わって心の中で復唱するとじーんとします。

特に一巻はネタバレしない方が良いなと読みながら思いました。
タクシーに乗る事、その運転手になるまでの彼の人生を想像しましたが、彼にとってもあの乗客を必要としていたのかもしれないなと。
作者はいつの震災とは明確にしていませんが、あの日、あの時の混乱を思い出すと、この「トーチ」一巻は涙なしには読めなかったです。そしてまた初恋って重いんだなと思いました。終わっていても気付いていなくても、想いを告げていなくても、今もあの想いは終わっていなくて心のどこかにあるんだろうなと。あの時間の重なりに涙でした。互いに必要だったんだなと思いました。

2巻。運命ってこういうものなのかなと。またこの時、このタイミングで、って確かにあったなと。
彼が食べたブレックファーストは何だったんだろうと思いました。朝からステーキ…パンケーキ…ワッフル…それともクラッシックなオムレツ? …オムレツかな(勝手にすみません)そしてブラックコーヒーかなと(何度も注ぎに来たのかもしれない)彼が厨房にいたのも良かったです。

3巻。本当に自分も死ぬ時が来るんだと実感すると、その時に感じた怖さは何かと思ったら、作中の様にあの時言えなかった言葉やできなかった行動が、後でと後回しにしている事が実は自分にとってもの凄く幸福を感じさせてくれている大事なものをぞんざいにしていると気づいた時の怖さというか。そうなる前のいつもの日常が、実はとても大事な一瞬だったのだと。きっと自分の人生の走馬燈を見る時、あぁこんなにも自分を想ってくれてと、抱きしめたくなるのにその時にはそんな事はもうできないし伝える事も出来ないのだと読みながら思ったら、彼が思い立って電話をしたコマにうんうんと頷きました。声が出せる時までに、見える時歩ける時までに。いつもの日常はいつか終わるのだと、なるべく早く知れた彼は本当に良かったなと。2人が再会した後のあれこれを想像してニャオスキー先生…と涙でした。
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