積木の恋【単行本版】
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積木の恋【単行本版】

黒沢要/凪良ゆう

美しかった✨✨

ネタバレ
2025年6月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと読みたかった作品。切りのいい所でストップするのがなかなか出来ないので普段は漫画を読む事が多いのですが、読み返すたびに原作を読んでみたいとこれほど思う作品も久しぶりでした。ゆっくりした時に…と。

BLを読んでいるからか男が男を求めるのは自然な事なのですがこの作品の冒頭では何故かそこに違和感があり、そこまでして男の体に欲情する?と。そう思ったのは主人公透が早く終われと思いながら加賀谷に抱かれているシーンからで。本来のこの人の性の対象は何だったんだろうかと。自身の生い立ち境遇から、取れる所からお金を貰って何が悪いと思っている透は、もし女性の方が詐欺がしやすい立ち振舞いができたのだったら抱かれるのではなく抱いていたのだろうかと。料亭のお座敷の襖の奥に嫌悪感を抱く透からも、彼は本当は…と(描かれていないのでそう思ったのですが、原作ではどうなのかなと思いました。)

逆に加賀谷さんはゲイで。透に似た後輩に長い間片想いをしていたと。透と出逢いその想いを昇華したのだと思うのですが、彼の幸せは逆に何だろうかと。想い合いたいと思っていたら、透とは上手くいかなかった様に感じ。加賀谷さんから400万を貰ったら、後は音信不通にすれば良いのに何故か透は加賀谷さんの自宅に通っていて。透をそうさせた加賀谷さんの想いは何だろうと思ったら、愛する事を許されたいと思っていたのだろうかな?と。欲情抜きの想いは透にとっては心地良いものだったのかな?と思ったりしました…がどうなのかな。

詐欺の為に、早く終われと思いながら抱かれる事は苦痛でしかないのに、そんな透が初めて加賀谷さんを求め抱き合うシーンには涙でした。今まで誰かを好きになる状況でもなかったのかな透が、加賀谷さんを好きだと自覚した時のコマは感動しました。美しいなと。点描とかそんな描写はなく作者のコマの間というか空気感が好きで、この作品もだから読んでみたいなと思ったのですが、言葉にしない描かない描写の数々が切なすぎて沁みました。出所のシーンも本当に良かったです。読了してタイトルをまた見ると、じーんとしました。

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