このレビューはネタバレを含みます▼
試し読みでこれは!という見事な導入。この作品は推せます!
登場人物の20歳で派遣の日雇い労働をしている、二神まひるがデザイナーの新井陽平にスカウトされるところから始まる。プリティウーマンBLかマイフェアレディBLといえるか。
まひるには女顔だったこと、女兄弟からのおさがりで過ごした幼少期にいじめにあった過去。などから自信をもてない日々をすごした。その息苦しさから上京したまひるが初めて自分を開放して楽しめる場所がファッションブランドLiMのモデルだった。これは素敵な展開。まひるは全編通してマイルドヤンキーでかわいいワンコ状態になる。垢ぬけていく過程をファッションで見せていく構成も見ていて楽しかった。
この話にはまひると陽平のラブストーリーが織り込まれているが、今回は陽平サイトをフォーカスしたい。まず、ブランドのコンセプトがかなりしっかりしていたことに驚いた。LiMは少しで最大のよさが得られる服の他にレディース(L)とメンズ(M)の間の自分(i)は並行で区切りはないって2重の意味をかけてあるってカッコよくないか!しかも自分が小文字なのもクール。そしてパンクファッション。作中、陽平が所々で裁縫をするシーンがある。なんならベットサイドで刺繍をしている姿もあって、その表情やしぐさで服への愛の深さが見て取れる。それゆえに中盤で陽平が語るつぶやきには痺れるものがあった。
この作品を読んで、子供の頃の足踏みミシンを思い出した。いま思えば服を作ってもらうって愛だね。