特級αの愛したΩ
」のレビュー

特級αの愛したΩ

神波アユミ

特級αの愛した特級Ω

ネタバレ
2025年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新刊試し読み買い。絵柄も素敵だし、タイトル通りの素晴らしい作品でした。

特殊設定にもいろいろありますが、とうとう出たか、特級α…αの中でも特に希少な、100人に1人しかいない人類最高到達点。
動物園のパンダか?有磨礼が道を歩けばどこからともなく野次馬が湧き、隠し撮りなんかは当たり前。人並外れたギフテッドにつきまとうしがらみ、国家レベルでのバース研究に少子化対策に…これでもかというほどドラマティックな要素が詰め込まれているものの、それなりの困難を乗り越えつつ自然な形でのハッピーエンドです。悲しいこともあるけれど、締めくくり方はきれいだし、わたしとしては読後感もすっきり。終始絶妙な匙加減で情緒が揺さぶられ満足度は十分ですが、贅沢をいえば、イチャラブをもうちょっと詳しく見たかった(ストーリー重視のためエロなど二の次三の次)…
オメガバースには欠かせない「運命」にこだわらず、自分たちの感覚を信じて突き進むところが良かったです。
そしてこのお話に出てくる女性陣の頼もしいことよ…全員顔や髪型が似ていてちょっと見分けがつきづらいところもありましたが…
推しである有磨を学生時代から追いかけてきた高橋さん。最後、いいところは全部彼女がかっさらっていった感があります。被害者である大関を差し置いて諸悪の根源を成敗するその勇姿、かっこよかった…
性加害など社会問題に言及しつつ代理出産というデリケートな話題にも触れるため、たとえば特級αの稀有な遺伝子を政治利用など、話がこじれすぎないかとハラハラしましたが、そういった懸念は適度なラインでうまくまとまっていると思います。

10年前の学生時代…大好きな有磨に迷惑をかけてでも自主退学せねばならなかった(たぶんこのくだりはちょっとわかりづらい)Ωの大関。けれども無理やり事情を問い詰めることなく寄り添う有磨からは、確かに特級αの威厳が感じられました。
そしてそんな有磨のハートを射止めた大関もまた、彼と釣り合うに値する人間性を備えているのであった。
いいねしたユーザ44人
レビューをシェアしよう!