【電子限定】翼なき彼ら
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【電子限定】翼なき彼ら

西田ヒガシ

白い翼といのちの願い

ネタバレ
2025年12月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 西田沼へ沈没して早数年。時間をかけて柔らかくなった革のような男たちを描いたらピカイチの西田先生。今作は現代ファンタジー 195頁

山間の田舎町。数十年ぶりに母校で再会する壮年期の男二人。両親に愛されなかった木田秀彦(きだ ひでひこ)そしてゲイを隠して家庭を持った藤井睦(ふじい むつみ)

ふたりは少年時代に白い生き物を助けた。それが月日を経て藤井の前に現れる。翼を授けて命の選択を迫る。病院で意識の戻らない娘か、忘れられない男の命か。それとも…。ギリギリまでに追い詰められた先で待つものは。

木田は初めてあった藤井の、涙ぐんだ顔に一目ぼれした。しかし、モテの才能が開花してからは女を渡り歩く日々。それなのに翼の生えたおっさんを可愛いと口走り、その人が哀しみをこらえる姿にキスせずにはいられない(セリフ少なく、場の空気で会話してるのが、たまらなくいい)

藤井は死を目前にして「愛する人に…抱きしめられたかった」とつぶやいている。帰宅しても家族はいない。雨の降る夜、娘の好きなヒゲを剃り、同級生と向き合う。幼すぎて分からなかった苦しい感情に名前がつく。

最後は、白い生き物が木田に問う。彼は命の再生を願った。それは親になった藤井が子供をみせたから。本当は大切にしたかった気持ちを口にする。木田が愛にふれた瞬間に胸が痛くなった。

雨はあがり、空は晴れる。翼をなくして、ただひとりの人にたどり着く不思議な話
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