忘れた春は君隣り
」のレビュー

忘れた春は君隣り

こみち

頬をなでる春風のような作品

2026年6月6日
本当に心から良い作品。

先生同士の恋のお話ですが、非常に丁寧にふたりの心理を描かれています。
そして「言葉」がどれほどの凶器になるかも読み取れます。
逆にどれほどの治療薬になるかも。
何気ない一言、良かれと思った一言でさえどちらにも転ぶのですよね。

島先生がある生徒たちの恋愛を通して自分の心に残った青春の苦い残像を昇華してゆくのですが、そのお話の運び方も読み手に青春時代の既視感さえ覚えさせるように見せてくれる。
生徒たちの恋愛、島先生の青春時代や心の生い立ち、そして暮沢先生の様々な後悔や恐れ。
くるくるとそよ風の様なスパイラルに巻き込まれながら読んでいるようです。
島先生のふわふわと優しい輪郭の裏にあえて隠している部分や暮沢先生の不器用で真っ直ぐに前しか見えないような部分。
それぞれの苦悩や恐れが3年間、いやそれ以上の時間をかけてゆっくりとほどけてゆく。
学校行事や植物の成長を通して時の経過を感じさせてもらえるのも穏やかでいいんですよ。
その中で時折見せる暮沢先生の優しいまなざしがグッとくるんですよね~。

人生いろいろなことを経験しながら積み上げていきますが、傷つき傷つけ後悔し自分の在り方や安全地帯をなんとか確保したいじゃないですか。
社会人になればなおのこと求めてしまう。
穏やかな市井の人々のささやかな幸せを垣間見れるような優しいお話でした。

単話で完読し描きおろし読みたさで購入です。
満を持していざ描きおろし…アイヤ?!島先生のこなれ感やいかに…。
ありがたい初々しい幸せな2人の時間読ませていただきありがとうございます。
いやそれにしても、島先生のこなれ感…いかにとらえれば?
こうなったらふたりの優しい甘い時間をもうちょいみたいですね~。
このままではおられませんよ。
短編でもよいのでそのあたりよろしくです先生。

**231ページ**
いいねしたユーザ35人
レビューをシェアしよう!