最後まで 征 という人物のスケールが大きいのか、柔軟なのか、信念がないのかよくわかりませんでした。でも、ヒロインは、征 には家族として愛情を持ち、伊織には命より大切に思える恋慕を持っている。伊織は、ヒロインにとって太陽のような存在らしいので、もう、征は宇宙規模だなと思って読みました。キャラとしては、征が一番魅力的だと思いますが、征 をヒロインの従兄 (ヒロインの父親に通じている) にしたところが筋立ての妙だと思います。女帝のような、ヒロインの母ですが、その母親の強靭さを、ヒロインは他者を受け入れて包み込んでしまう強さとして引き継いでいるので、太陽のような夫との将来は暗くなるはずがないのでしょう。この作者さんの作品をずいぶん読みましたが、なかなか、★4以上をつけたくなるものがないわりに、★2にするほど酷いものにもあたらず、なので、私にとっては買って損はない作者さんです。