黄色と青の表紙が印象的で、各話の季節ごとのタイトル、それに伴う情景が鮮やかなストーリーでまとまった1冊。画での表現力が素晴らしい麻生ミツ晃先生、小説のように読み応えがあるストーリーも然りですが、その画の細かさに尽きます。松岡の視線、思い出したときの火花と雪、東の涙など、ぐっとそのシーンを印象深くし、それぞれの気持ちが触れるように伝わってくる。春、幼さのある東がそれを自覚していたり、後から気づいたりしながら夏、秋、と強さを持って成長していく姿は美しい。松岡の感じている恩、宝物のように大事にしてきた記憶は呪縛であり良心であり道標だった。とても切なくて尊い。絡みのシーンは多くはないのですが、とても美しく、性急さを抑えられない雰囲気でとても素敵です。