麦田親子と千尋の交流が穏やかで優しく、自然と縮まる2人の距離が、手探りしながらのゆっくりペースで、物語に合っていました。また、子供の光が、よくある変に良く出来た物分かりの良い子では無く、何処にでも居そうな元気で子供らしさ溢れる子で、リアリティがありました。誰かに支えられ甘えられる心強さと感謝の気持ち、また与えられるだけでは無く自らも与えたいと思える気持ち、優しい気持ちがたくさん詰まった温かいストーリーでした。2人のお付き合いも、三十路の子持ちとは思えない程、初々しさがあって良かったです。短編は、部活の先輩と後輩の再会物語。あの時確かにあった淡い恋心が、時を経て、再び芽吹く瞬間を匂わせるような終わり方で、読者の想像力を掻き立てられる作品でした。