上辺の付き合いばかりしていたヤンキーがひょんなきっかけで藝大を目指すお話。
6巻までが受験編、7巻から大学編に入ります。
芸術系スポ根漫画と言われるだけあって、読んでいてかなり精神が削られます。胃が痛い。
特に大学編からは真っ暗な渦の中に飲み込まれたような苦しい展開が続くので、人によっては相当気が滅入ることになるかも。
芸術の面白さだけでなく、哲学的に「自分は何者なのか」を考えさせることに長けた作品だからこそですね。
キャラクターそれぞれの心情がとても丁寧に描かれていて、芸術家の頭の中は複雑で面白いと思うと同時に、作品をつくり上げる過程のもがき苦しむ様子に読んでいて胸が苦しくなりました。
まだ未成熟な主人公たちが絵を通じて自分と向き合い、知らなかった(知りたくなかった)一面をどんどん丸裸にしていくことで、作品が完成していく様子はもちろん少しずつ変化していく人間模様が鳥肌ものです。
構図や見開きの演出も素晴らしくてグワーッと引き込まれます。
学生の頃に出会えていたらいろいろ人生変わっていたかもしれないと思うくらい、良くも悪くも濃密な作品です。
ちなみに美術史や技法を全く知らなくても、頭にスッと入ってくるような丁寧かつわかりやすい解説をしてくれるので問題ありませんよ。