子供の頃からの夢のために研究に励む大学生が、優秀な編入生と急速に仲良くなり、お互いの希望と再生に向けて共に歩むお話。
人間が空を飛ぶための研究をしている力良に興味を持ったイケメンで頭の良い里見。里見の入れ墨をキレイだといい、里見に告白され意識し始める力良。お互いがお互いを支え合い、前を向く力にしていく過程が鮮やかに描かれています。後ろ暗い過去や消えない傷に引きずられ汚い感情を持っていた里見が、キラキラした瞳で夢を語る力良に毒気を抜かれ澄み渡る青い空を見上げる構図は心を揺さぶる素晴らしい構成だったと思います。そしてその変化を里見の瞳のキラキラで表現しているところが良かったです。
ただ、里見の過去が想像以上に重いのに意外とあっさりとしか描かれていないので、里見がどれだけツライ思いをしてきたのかがもう少し描かれていても良かったかなと思いました。また、里見が力良を手に入れることを目的としていたのは分かりますが、なぜ欲しいのかという里見の感情が行方不明なので、少し考えてしまう部分がありました。そして、えちシーンの白抜きが多いのはもっと残念でした。
とはいえ、普通ではないことが大切である研究者が普通にこだわろうとする思考などはとても興味深く面白かったです。