「4月の東京は…」「東京ー四季ー」の続編、蓮の兄恭平と神宮寺の愛の物語完結編です。
ここまで読んで改めて早乙女兄弟のドラマチックな愛の展開に感動しました。優しく深く想い合う弟と激しく猟奇的に求め合う兄。愛のカタチはまるで違うけど、二組共に傷付いた過去を乗り越え前を向いて生きていく力強さと強い引力を感じました。
そして、前作からの神宮寺の激しい執着愛がついに実を結びます。壮絶な幼少期を乗り越え、神宮寺が初めて欲しいと全力を傾けられた相手が恭平。初めて会った時に感じた好意的な香りは一種のフェロモンのようなものであり、出会いから運命的だったんだなと思いました。当て馬ですら利用し、欲しいモノを手に入れるためには手段を選ばないゆえに劇的な展開になりましたが、全てが神宮寺の計画通りだと思うとあっぱれでした。一見すると恐ろしいほどの執着愛ですが、愛に飢え、自分の心を抑圧してきた天邪鬼な恭平には、彼以上の愛を与えてくれる人はいないだろうと感じます。記憶喪失のフリをしていた期間、そうまでしても恭平に構ってほしい神宮寺の真っ直ぐな想いが痛い程伝わってきました。あんなに恭平を欲しがった神宮寺が、えちなしでも恭平の側にいたいというのは本当に深い愛だと思いました。
また、各家庭の親子の向き合い方もそれぞれで、シリーズを通して親はどうすべきかをとても考えさせられるお話でした。あんな境遇にいながらも、蓮を大事に思ってくれていた恭平の兄弟愛には本当に涙が止まりませんでした。
3組のカップルそれぞれの愛は見事に成就し、キレイにお話は終わったと思います。でも、3組が交差し切磋琢磨しながら幸せになっていく過程を見たいです。3組のいちゃいちゃをもっと見たい、続きを希望します。