人の最期を通して人の生そのものを見つめ直す物語。エンバーマーの心十郎や彼に関わる人々の目を通した、淡々とした語り口の人間模様です。人の死がテーマの話ですが、死そのものではなく、死者を送り出す側の目線で描かれているので、そこに悲しみはあっても流れる空気は温かく優しいです。
登場人物もそれぞれ味があって人間臭くて(当然だ)面白い(人の内面を鋭くも優しく描き出すミツカズさんの表現力は本当にすばらしいと思います)。イケメンでギャルホイホイ😃(byアズキ)な心十郎の裏の顔は本当に切なくて切なくて…いつかそのトラウマを乗り越えてちゃんとアズキの手をとることができるように、と願ってやみません。
涙ばかりではなくて、おかしな登場人物の言動に笑わされ、話の隙間にある毒にハッとさせられ、本当に飽きないです。笑いと涙と毒!そのバランスが最高。
絵柄も、やはりいつ見てもシャープで美しい✨✨✨
生きてそこに在るということは、当たり前のことではなくてとても大変なことでそしてとても愛しいこと。この作品を読んで、そんなことを思い出しました。エンバーマーという職についてはこの話を読むまで知りませんでしたが、本当にすばらしい職業だと思います。是非、もっと多くの方に読んでいただきたい作品です。