三部作の一作目です。
最終巻の『恋の果て』を読んだ後にこの『恋の話』を読み返すと、まあ高梨が幼くてびっくりします。この、いかにも学生気分の抜け切ってない新卒君が、巻を進めるごとに、懐の深い男前に成長していくんです。その成長の糧はもちろん恋の力で……そんな二人の、まだ未熟すぎて不器用すぎる頃の可愛いお話が、この一作目です。
頑張り屋でこじらせ屋で怖がりの徳永と、優しくて真っ直ぐで怖れない高梨。基本的な人格はシリーズ通してずっと変わらないけれど、この一作目では、徳永はツンデレというよりツンツンすぎるし、高梨はそんな徳永がまだわかっていなくて振り回されてばかり。
なので、本編は甘さ控えめですが、巻末の描き下ろし2つ(週末の話)あたりから、変化の兆しが見えてきます。徳永がとにかく可愛いし、高梨が徳永を理解して受け止めるようになっていくのが嬉しくて、幸せな気分にさせてくれます。
そして、「イルカを買うエピソード」は必見! ここに二人の性格と関係がぎゅっと凝縮されていて……イルカちゃんはまさに二人の恋の象徴なのだと、のちのち最終巻で思い知ることになります。
この一作目単独だと★4ぐらいかな?という感じですが、三部作の序章としての評価で★5としました。どうぞ二作目、三作目と続けて読んでほしいです。