亡くした恋人を追ってマンションから飛んだはずが、250年冷凍保存され未来世界に生還した男。目覚めた時にいた恋人の3割減のアンドロイドとの生活で、再び愛を知るお話。
最初は、勝手に冷凍保存されたこと、恋人のニセモノになるアンドロイドとの再会を用意されたことに腹が立つと共に、虚しさを感じました。寅雄本人が納得して選択した生き方を親のエゴで書き換えられ、恋人の代わりを用意される。そこにはもう自分の知っている人は誰もいないし、住んでいる世界もまるで別世界。自分だったらと思うと納得出来ないし、淋しさも悔しさも虚しさもぶつける相手がいないし意味がないと思いました。
そんな未来世界を生きていく虚無感を吹き飛ばしたのが、ヒカルB。元恋人の失敗作ロボットに最初はイライラしたものの、いつも笑顔で優しく献身的なヒカルBとの生活が寅雄の心を溶かしていきます。このお話のスタートは実はここからで、再び250年冷凍保存された寅雄の生きる原動力になったのがヒカルBとの約束だったというのは感動しました。ゴミとして処理されたヒカルBも寅雄との約束を光に動いていた。アンドロイドであるヒカルBと心を通わせることが出来た。そして二人がもう一度出会えた。そこに500年の意味を感じました。最後はとても清々しい気持ちで二人の再会を祝福できる、愛を感じられる作品です。