SFでアンドロイドの存在って、いろんな理由で人間に近づく・寄り添うものとして描かれるけれど、それはきっと、誰かが何かのきっかけで「そんなふうに永遠に寄り添ってくれる何かがいてくれたら」と願うことから始まるのか。それぞれの作品はそれぞれ違うストーリーなのに、どこかで共通のテーマを持っていることを感じさせられます。
寅雄のご両親はすごい。ただ彼がふたたび目覚めることを願うだけでなく、その時に訪れるかもしれない絶望的な孤独にまで思いを馳せてこんな目覚めを用意していたことが切ない。物語の最初の方にしか登場しなかったけれど、自ら先立とうとした息子への愛の深さを感じました。
そしておそらくはそのご両親によって基本設定を決められたOSと、日常生活を送るためのコマンドと、過去の光に関する記録をもとに用意されたアルゴリズム(でも3割減)をもとに光が粘り強く寅雄に寄り添うのが何気なく、でもすごくいじらしいです。
オリジナルの光に激似じゃなかったことで、寅雄を過去に縛り続けず、これからの250年を生きていく希望につないだのかな、と思いました。
あー、せつない。そして、今生きていることを大事にしたいと思わせられる、すごく素敵な作品です。