愛日と花嫁
」のレビュー

愛日と花嫁

渚アユム

人を嫌う守り神と神の心を解くΩの花嫁

ネタバレ
2022年2月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 神と人とが少し近い存在である世界観の中で織り成される異種族オメガバース。
とっっても良かったです!作者様初コミックスとはビックリ!
「オメガバ」「神と人」「加護の種」等、細やかな設定の一つ一つが上手く調和し、胸に迫るストーリーと美しい絵が相まってとても満足度の高い1冊でした。

人に知恵や加護を与え村を守る太陽神・クロのもとへ、村のしきたりに従い嫁ぐ事になるΩへと突然変異したルカ。
花嫁と言う名の生贄であると理解していても人に助けを求める事は出来なかった真面目なルカが、クロの不器用な優しさに触れ、素直に自分を解放できるようになる嬉しい変化が描かれ、同時に愛想はないけれど情に深いクロにとってルカの存在が大きくなっているんだろうと感じる2人の優しい時間が紡がれていきます。

後半、人に対し線を引いていたクロが神となった経緯と過去が全て紐解かれていきますが、この過去がとても恐ろしく苦しいもので胸が抉られます。
泣き縋りたくても出来ず、傲慢さに強い怒りと意志を持ち、一切のためらいも持たずただひたすら種を大切に育ててきたクロの心の内を思うと、また知ってしまったルカの哀しみを思うと、胸が痛くて痛くて。

だからこそ2人が出会い、互いが互いにとっての救いとなり、唯一となる愛を得る喜びを知ってくれてほんとうに良かった。
2人の未来だけではなく、この世界の、そして他のΩたちの為、2人が志を遂げる所まで見届ける事ができるのも満足度が高い理由です。

エチもしっかりあって、ヒートで求め合う激しめのエチも、大切な想いが溢れでる愛しいエチも、どちらも本当に色っぽくて素敵!
想いを通わせた時の慈しむように身体を重ねる2人の表情にこちらも多幸感で一杯に。
あの不愛想だったクロが、ルカのこと可愛くてしょうがないんだろうな~と伝わる好きダダ漏れの溺愛っぷりも最高!
めちゃくちゃ甘い描き下ろしや、電子特典のルカのとろんとした可愛いすぎるフェ〇顔にも満足です。

ふっと心が温かくなるような幸せ溢れる本編最後の1ページが大好き。
心が凍てつく震える孤独を知っているからこそ、陽だまりのような愛日がどんなに幸せかを感じる事ができる日々。
彼らの愛しい日々が、ずっとずっと優しい温もりと笑顔に包まれていますように。
大好きなお話で大満足でした!続編是非お願いします先生~
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